☆消えてしまったわたしの赤ちゃん☆14歳の妊娠・・・ ~セックスを軽く考えないで~
「おれができたとき、おふくろはまだ19歳だった。」

剛はゆっくりと話し始めた。


「大学で付き合ってた男とそういう関係になって・・・、おれができて・・・。


でも子供ができたと分かったとたん、その男は・・・、つまりおれの本当の父親なんだけど・・・、そいつはおふくろを捨てた。


そのことを知ったおふくろの親は、つまりおれのじいちゃん、ばあちゃんは、まだ学生なのに、一人で子供を産むんで育てるのは無理だって言ったらしいんだ。


子供を産んだら、大学で勉強して、卒業して、弁護士になるっていう夢も諦めなければならなくなるよって。


でもおふくろはそれでも産みたいって言ったんだ。そして最終的には、おふくろの親も納得して、子育てを手伝ってくれることになって、おふくろはおれを産んだんだ。


でもそのために・・・、おふくろは多くのものを失くさなければならなかった。


大学を中退して、夢を諦めて、おれを産んでからは、おれを養うために朝から晩まで働いて・・・。


仕事から帰ってきたおふくろは、疲れきって、いつもやつれて見えた。


おれは子供ながらに、自分は生まれてきてよかったんだろうかって、悩んだりした。


おれは、昼間はおふくろの実家に、つまりじいちゃんとばあちゃんのところにあずけられてた。


じいちゃんとばあちゃんは、おれを大事な孫として、ものすごいかわいがってくれたし、面倒をよく見てくれたから、おれはあまり寂しくはなかった。


おれがじいちゃん子だったのは、いつもじいちゃんにかわいがってもらってたからなんだ。


でもおふくろが毎日、疲れて帰ってくるのを見ると、辛くなった。


一度だけ、おふくろに聞いたことがあったんだ。おれは生まれてきて、よかったのかって・・・。


そしたら当たり前じゃないのって、怒られて、それからぎゅっと抱きしめてくれた。


そしておれのことを、大切な宝物だって言ってくれたんだ。



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