☆消えてしまったわたしの赤ちゃん☆14歳の妊娠・・・ ~セックスを軽く考えないで~
「立ち話するのもなんなので、よかったらそこのカフェで話しませんか?」


院長は提案した。


「はい。」


わたしはうなずいた。


自分でもなぜかよく分からないけれど、院長と二人きりで話してみたい。


そう強く思った。


電車は予定より、一本遅らせることにしよう。




カフェに入り、わたしたちは飲み物を注文した。


しばらくして紅茶とジュースが運ばれてきた。


院長は一口紅茶をすするとこう言った。


「わたしが産婦人科医になったのは、わたしが10代の頃の体験があったからなんです。」


「10代の頃の体験ですか・・・?」


わたしは院長の言葉を繰り返した。


「ええ。」


院長はうなずいた。


そして胸の奥にしまっていたものを、そっと表に出していくように、静かにこう話し始めた。


「16歳の頃、わたしは青春を謳歌することだけに、一生懸命でした。初めてできた彼氏と毎日のようにデートをするのが、楽しくて仕方がありませんでした。

でもその頃のわたしは、男女の体のことや、性のことを、ほとんど知りませんでした。彼氏のほうも、多少は知っていても、あまり真面目には考えていませんでした。


そして避妊をせずに彼氏と性交渉をして、赤ちゃんを妊娠してしまったのです。わたしは厳格な父と母から責められ、まるで汚いもののように見られました。

誰もわたしが赤ちゃんを産むことには、賛成してくれませんでした。」


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