☆消えてしまったわたしの赤ちゃん☆14歳の妊娠・・・ ~セックスを軽く考えないで~
わたしには院長の気持ちが痛いほど分かった。


赤ちゃんを失う悲しみ。


辛さ。


自分と同じように、赤ちゃんを産むことができない状況で妊娠し、中絶せざるおえない人たちが、これ以上いなくなるようにと願う気持ち。


そしてそのために、自分は何ができるかを考え、行動すること。



わたしには、もう一つだけ、どうしても聞いてみたいことがあった。


「わたしも、先生の気持ち、よく分かります。でも・・・、」


わたしは言った。


「先生ご自身は大丈夫なのですか・・・?もし先生の病院に受診してきた人が、中絶を選択したとき・・・、先生は耐えられるんですか・・・?」


「確かに、妊娠の検査をしにきた方が中絶を選択したとき、それはとても辛いことです。」


院長は言った。


「でも体験者だからこそ、わたしには中絶する人の気持ちがよく分かります。

10代の場合には、ご本人は出産を希望していても、出産に反対する親御さんが、中絶するように説得してくれと、頼んでくるケースもあります。


しかしそのような状況で、無理やり中絶させたとしても、ご本人の心はますます傷つくだけです。そのことは、わたし自身がよく知っています。


何がご本人にとって、一番良い選択なのか、そのことをきちんと考えることが大切です。


わたしは出産と中絶の両方について、詳しく説明するように心がけています。そしてご自身でよく考えるようにすすめています。


わたしの話を聞いたり、一緒に話したりしているうちに、中絶を思いとどまり、出産を決意した人たちもたくさんいます。


どちらを選択するのか、それは未成年の場合は、特に難しい問題です。親御さんの協力がなければ、育てられない場合も多いでしょう。


わたしは彼女たちの話しを真摯に聞き、共に考え、共に話し合い、少しでも彼女たちを支える力となりたいと思っています。」


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