☆消えてしまったわたしの赤ちゃん☆14歳の妊娠・・・ ~セックスを軽く考えないで~
「そうか・・・。」


かっちゃんは握っていたわたしの手を、そっとはなした。


「かっちゃん・・・、」


わたしははっきりとした口調で、かっちゃんにこう言った。


「かっちゃんは・・・、かっちゃんのことを、本当に必要としている人のところに行ってあげて。」


かっちゃんは驚いたように、わたしを見つめた。


「わたしには、今、とても大切な人がいるの。」


わたしは言葉をつづけた。


「同じように、かっちゃんのこと、とても大切に想ってくれている人がいるでしょ?

だから・・・、その人のところに行ってあげて。その人のこと、許してあげて・・・。」


かっちゃんは黙ったまま、わたしを見つめていたが、やがて決心したようにうなずいた。



わたしには分かっていた。


かっちゃんは利栄子がわたしをいじめたことを知って、利栄子と別れたけれど・・・、でも本当はまだ利栄子のことが好きなのだということを。


好きだからこそ、信じていたからこそ、わたしにひどいことをした利栄子が許せなかった。


ショックだったのだ・・・。


利栄子は自分がみじめだから、かっちゃんは付き合ってくれているだけだと言っていたけど、本当はそうじゃない。


かっちゃんはただみじめだからとか、かわいそうだからという理由で、女の子と付き合うような人じゃない。


かっちゃんのほうも、利栄子を本気で好きになったから付き合った。


かっちゃんを心の支えにしている利栄子を、放っておくことができなかった。


< 362 / 392 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop