HERO




「手伝ってあげようか?」




朱莉の髪先がマウスを持つ梓の手に触れる。



息がかかる程の距離に、二人の親密さが滲み出ていた。



私は今日、この光景を見るためにここに来たのだろうか。



それから朱莉は、そのままそこを動かなかった。




「ああ、ダメだ。やっぱ無理なのかな」



何に行き詰ったのか、梓はいつもの癖を見せる。





「大丈夫、梓ならできる。もし出来なくても、私がいるんだから」








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