HERO


その言葉は私の口から発せられたのではない。


今梓の隣にいる、綺麗で、優秀な人がそう言ったのだ。


それは、もう梓に自分は必要ないと悟った瞬間だった。




「ありがとう」




昔私にくれた笑顔は、私に生きる価値を与えてくれた、強さを与えてくれたその笑顔は、今は朱莉のものなのだ。







< 24 / 86 >

この作品をシェア

pagetop