HERO
梓たちはどこに行ったのだろうか。
白い壁にふと手を添えると、音をたてずその壁は透明色へと変わる。
その壁に手を沿って歩いていると、自動ドアなのだろう。
扉が自動で開き、別の部屋が現れた。
「**大学」
目に入った見慣れた大学の文字に、胸を撫で下ろす。
大学であることに違いがないのであれば安心だ。
もしかすると、眠っている私を見兼ねた梓がこの部屋に連れて来てくれたのかもしれない。
記憶にはないが。
「梓?」
部屋中に響いた声が壁に反射して私の元へと戻ってくる。