HERO
食い入るようにひとつひとつの画面を覗きこんだ。
すると、大学のキャンパスを映すモニターに人影が映りこむ。
白にも見える金色の髪、背は然程高くなく、その幼い顔つきはとても大学生には見えない。
だが、大学生と言わんばかりの顔で堂々とキャンパスを歩き、その体には白衣を纏っている。
眺めているうちにも少年は、枠の中から見えない場所へと消えてしまった。
いくつかの研究室を見てみる。
そのうちのひとつに、見覚えのある後ろ姿が映っている。
見つけた。
彼はカメラの存在を知っているのか。
カメラの向こう側に私がいる事を知っているのか。
モニターに映る梓は振り返り、カメラを見つめた。