HERO
モニターの端に写る文字。
「2-F?」
これはその部屋の番号なのか。
私はそこを飛び出し、2-Fを探しまわる。
部屋の外に出て驚いた。
なぜならばそこは、つい昨日見た大学とは見違えるほど綺麗になっていて、まるで同じ大学だとは思えなかったからだ。
ひんやりとした廊下では、物音ひとつ聞こえない。
ヒタヒタとした足音と、自分の息遣いが鮮明に聞こえる。
少しずつ、不安が恐怖へ変わっていく。
それを証明するように、歩幅は大きくなり、歩くスピードは速くなる。
「…あった」
白い両面扉の上に、2-Fと黒文字で書かれている。
息もままならないまま、戸に手を伸ばす。