HERO


息を呑み、恐る恐る振り返る。



「梓!」



「僕は梓ではありません」



そう言うとロボットの梓は私の腕を掴み歩き出した。


足を引きずる私を気にしてくれる素振りさえ見られない。



「わかってる!わかってるからちょっと離してよ!どこに連れていくつもり!?」



「大学に行くつもりです」



「は?どうして?あいつに、平とかいう子に言われたの!?」



「はい」



「これ、夢だよね?私、夢の中にいるんだよね?」



「夢ではありません」



「あ、ねえ…今って、何年?」




「西暦2055年です」




< 40 / 86 >

この作品をシェア

pagetop