HERO
息を呑み、恐る恐る振り返る。
「梓!」
「僕は梓ではありません」
そう言うとロボットの梓は私の腕を掴み歩き出した。
足を引きずる私を気にしてくれる素振りさえ見られない。
「わかってる!わかってるからちょっと離してよ!どこに連れていくつもり!?」
「大学に行くつもりです」
「は?どうして?あいつに、平とかいう子に言われたの!?」
「はい」
「これ、夢だよね?私、夢の中にいるんだよね?」
「夢ではありません」
「あ、ねえ…今って、何年?」
「西暦2055年です」