HERO
「それって何かの冗談?さっきからロボットだとか、2055年だとか。大学だって―」
すると梓は立ち止り、辺りを見回し始めた。
「何?」
通りにある古びたマンションの中に入って行く梓は、人さまの家のポストを開ける。
「ちょっと何してるの!?」
ポストから一枚の葉書を取りだし、私に差し出した。
「冗談ではありません」
「?」
正装した二人の幸せそうな写真と共に、結婚しましたと書かれている。
そして、そこには確かに2055年12月25日と記されているのだ。
惑乱し、数分後、気付いた時にはそこにあったすべてのポストの中身を地面にぶちまけていた。