HERO
「この子、何者なんですか?」
「何者って。君はこの子を知らないと言うのか?」
「…いや、いえ、えっと…」
「え?」
怒りにもとれる疑いの目を見て、咄嗟に両手の平を見せた。
「いや、なんでもないです。聞いたことはあるんです。確か、ロボットを開発したとかなんとか…」
大きく頷くお爺さんの視線は端末の中の平へと向かう。
「ああ。この国の発展は彼なしではありえなかった。彼の造ったロボットを見たことはあるかい?まるで人間そのものでね。世界中に激震が走ったよ。今活躍するロボットのすべては、彼がいなければここまで普及することはなかった。13歳でそのすべてをたったひとりで開発したんだ。彼の名を知らない人なんて、君が初めてだよ」
「13歳で…」
「そう。でも彼が皆の称賛を浴びる理由はそれだけじゃない」
「他にも、何か開発したんですか?」
お爺さんは口をぎゅっと噤んで首を横に振る。