HERO



私はあの頃から何も変わっていない。
そう思った瞬間だった。


私は、梓のことが愛おしい。


それは単に愛らしいその容姿だけが理由ではなく、私たちのこれまでの関係が深く関係しているのだろうと思う。




私たちは幼馴染だが、幼馴染と呼べる相手は互いにひとりではない。



施設で育った私たちには、多くの幼馴染を持っている。




私は4歳の頃、両親が事故で他界した後、親戚中をめぐりに廻って6歳で施設に入所した。




梓が来たのはその2年後のことだった。





小学4年生にもなる梓の背は平均よりもはるかに低く、体を辿る線も細かった。


何より女の子のような可愛らしい顔に、出会った当時から年上だという感じはしなかった。










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