HERO
―お爺さんごめんなさい
振り返りながらも、私が足を止めることはなかった。
私の後ろを歩く梓…のロボットは相変わらずの無表情で、梓にそっくりとは言えど、少し不気味にも感じる。
しかし戻るとは言ってみても、そのマシン自体がどこにあるのか。
確かお爺さんはトラベラーの仕事は人気の仕事で、役所がどうだとか言っていた。
役所とは、市役所のことなのか。
立ち止まり、髪をかき乱すと後ろにいた梓と視線が重なる。
「何よ…」
瞬き一つせず私を見つめる瞳に、自分の姿が映って見える。
「ダウンロードします」
「え!?」
「暫くお待ちください」
「えっ何?何をダウンンロード―」
「完了しました」