Lovers
特別枠さえもなくなってしまった。

せめてもの特別枠。


新人研修を終えてはじめての飲み会で、ハヤトの隣に座った。

同い年ということもあって、好きな映画、好きな歌、趣味のスノボ、おもしろいくらいに話題がよく合った。

学生時代からの彼女がいることもその時知った。


その後、同期の15人と同期会と称しては2週間に1度くらいのペースで飲みに出かけるようになった。


6月の初め、私が仕事でミスをして上司に叱られたのを目にしたハヤトが、飲みに誘ってくれた。

それが二人だけの約束の始まり。


二週に一度同期で飲み会

そしてもう一度はハヤトと二人で飲みに行く。

ハヤトとの約束だけが、一週間に一度になった。

そして…毎週金曜日ハヤトと飲みに行って、そのほかにも帰社時間が合うときには一緒にラーメンを食べに行ったり、牛丼を食べたり。

色気のない夕食を一緒にするようになった。


ただ友達として話す。

仕事の悩みも、私生活の悩みも。

楽しかったことも、辛かったことも。

私のことはハヤトが一番知っている。


だけど私たちは友達。

手だって触れたことがなかった……。

『友達』という特別な存在を保ちたくて。


昨日までは。


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