Lovers
それなのに火曜日の昨日、一緒にラーメンを食べている時ハヤトが言った。


『俺、彼女と別れた』

『え……』

『以上。報告』


そう言ってラーメンを食べ続けるハヤトを飲みに誘った。


『そんなときはパーッと飲も』


ハヤトも私もお酒は強い。

酔いたかったのに、何杯飲んでも酔えなかった。

だけど、涙腺だけが正直になった。

酔ってないのに流れる涙。

彼女のいなくなったハヤトの焼酎のグラスを握る手に……触れたいと思った。

触れたいのに触れられない。


ただそれだけで涙が流れた。


『彼女』の存在が、大きなせき止めになっていた私の気持ちが一気にものすごい勢いで流れだした。


< 11 / 35 >

この作品をシェア

pagetop