Lovers
こんな風に彼女を愛していたの……?

こんな風に彼女にキスしていたの……?


『ナナ』


そんな切ない声で彼女の名前を何度も呼んだの……?

もっと知りたいのに、知るのが怖い。


優しく触れるハヤトの指先が、私に纏う布を全部取り去ってしまった。

頬に優しく触れた後、自分のネクタイに手をかけてベッド脇に投げ捨てた。

目を合わせたまま、Yシャツのボタンを一つ一つ丁寧に外していく。

最初に見えたのは、男らしい鎖骨。

それから筋肉のついた胸。

少しずつ見えてくるハヤトの肌に鼓動は早まるばかりで……。

シャツを脱ぎ棄てたとき、早く欲しくハヤトに言った。


『早く…』


そんな私の願いもむなしく、何度も何度も丁寧に私の細胞のすべてに触れるハヤトの手。

ハヤトの舌。

やっとハヤト自身の熱を感じたとき、ハヤトが言った。


『誰を想ってる…』

『え…?』

『俺のこと考えてるのか?』


目を閉じたままでいた……。

今のハヤトを見てしまったら、もう二度と他の恋ができない。

他の誰かに抱かれる日が来ても、きっとハヤトを想ってしまう。

だから、目を閉じたまま言った。


『ちゃんと思ってるよ……ハヤトを。……今は』


いつだってハヤトだけのくせにそんな強がりで自分をごまかした。

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