Lovers


『女で親友って思えるヤツはナナが初めて。男友達みたいだ、スゲー居心地いい』

『私も。てか、親友っていうより悪友だけどね!』

『確かに』


二人で飲みに行くたびそんな話をよくした。

本当の気持ちは心の奥底に埋めた。

特別な存在でいたかったから。


知ってる?ハヤト……。

その広い背中に、なんど寄りかかりたかったか。

親友なんてイヤ、ハヤトの女がイイ……、何度心の中でそう願ったか。


「ナナ、会社でな」


振り返りもせずにそう言ったハヤトの広い背中を見送った。

昨日と同じスーツで出社するつもりなの?


「うん……」


玄関まで送ったりしない。

だって、恋人じゃないから……。

友達だから……。
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