Lovers
そして、次の日の休み時間、古典の教科書を忘れて、隣の教室のヤスマサくんに借りに行ったとき聞いてしまった。

ヤスマサくんと、クラスメートの会話を。


「なァ、ヤス。どうだった?」

「え?」

「コナツちゃんとヤッタんだろ?夏休み」

「は?何を?」

「シラきるなよ。エッチに決まってんだろ」

「そんなんじゃねーよ」

「え?」

「俺らそんなんじゃねー」

「は?コナツちゃん見て『ヤリテー!!』とか思わないわけ?」

「ああ。思わない」


気がつくと、涙がポタポタこぼれて、校舎からかけ出していた。

荷物も何ももたずに初めて授業をさぼってしまった。

ひたすら走ってヤスマサくんと1年生のとき初めて二人だけで来た河原にいた。

あの日は花火大会だった。

そこに座ると涙はより加速して流れはじめた。


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