Lovers
腕枕をしてくれて、その左手が私の左手をぎゅっと握った。

今日はめたばかりの彼とおそろいの薬指のリングが、ぶつかりあって、小さくカツンと音がした。


「今でもかわらないよ……。10年前のあのときの気持ちと」

「……」

「それから、10年前初めて抱き合ったときの気持ちとも」

「……うん」



「コナツ」

「ん?」

「ずっとずっと……そばにいような。大切にするから」

「うん」





『俺……コナツのことは、エッチしたいとかそんなことより、ずっとずっとそばにいれればそれでいい。自然に一つになれる日まで、大丈夫だよ。あせらなくても……コナツしかいないから』




17歳のあなたが、あの河原で私を抱きしめたままささやいてくれた大切な言葉。


その日まで、何度してもだめだったのに、そんな言葉が二人の気持ちを深めて、とても自然にそのまま抱きしめ合った。


初めてとか

痛さとか


全然関係なくなって、あふれたのは、説明できない『大好き以上の気持ち』


その気持ちを言葉にできる大人に二人で成長してきた。
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