Lovers
「彼女?」
「だって!別にお酒臭いわけでもないってことは、朝まで飲んでてわけでもなさそうだし。ってことは、誰かの家に泊まってたぐらいしかないでしょ?」
「なるほど、するいどいね」
バカ。
鋭くなくてもそんなこと、誰でもわかる。
顔を真っ赤にして騒いでいるバイトの子に、ハヤトがあっさりと言い放った。
「だけど残念、彼女じゃない」
こんな時くらい嘘でも『彼女』って言えばいいのに。
ハヤトの口から発せられた事実が胸に突き刺さった。
「えー?高橋さん意外!!ナンパとかですかぁ?」
ほら……。
そんな風に突っ込まれるのに。
実際ナンパより最悪だけど。
親友の女とヤッちゃうなんて。
自分のデスクに座って、パソコンを立ち上げてため息を一つついた。
なんか、もう……どうでもいい。
それなのに、後ろから優しい声がした。