Lovers
「彼女じゃない。好きな女」
その言葉が、女子大生に対する言い逃れだとわかっていても涙が出る。
ずるい……。
ずるいよ、ハヤト。
どうしてくれるの?
職場で始業前に泣くなんて…最低。
「え?」
「あいにく俺の片想い」
涙があふれだす前に席を立って、小走りでオフィスを出た。
「ナナ!!」
オフィスフロアを出たと同時にハヤトに腕をつかまれた。
「何……」
「なんで逃げんだ」
「逃げてないよ。トイレ」
「こっち見ろよ」
低く響くハヤトの声に、無理やり止めた涙が流れた。