Lovers


「もうっ……何よ」

「嘘じゃないから」

「何が」



「昨日一緒にいた女が、『好きな女』って」



そのまま手を引かれて会議室に連れ込まれた。


「ちょ……やめてよ」

「黙れ」


両手首を握られたまま壁に押し付けられて、ハヤトがじっと私を見降ろした。


「許さない」

「……何……が」

「他の男に昨日の姿を見せること……許さないから」

「昨日の姿って……」


じっと私を見つめたまま低い声でハヤトが言った。


「かわいい顔も、綺麗な身体も。感じた声も。全部」

「ちょっと!!会社で恥ずかしいこと言わないで!!ていうよりなんで…関係ないじゃん、ハヤトに」

「ある」

「友達だってそんな風に束縛する権利ない」


目を逸らした私のあごをくいっとつかんで、強引にハヤトと視線を絡ませられた。


「この1年間、ナナのことを友達なんて一度だって思ったことない」



ハヤトの冷たい言葉に涙は止まらなくなって、もう止める努力もやめた。
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