Together~キミと一緒に~
しばらくは無言で歩いた。
二人ともどういう風に切り出したらいいのかわからなかった。
私の家まであと少しっていうところでやっと裕樹が話してくれた。
「あのさ、聞きたい?さっきのこと。」
「話してくれるんじゃないの?」
「話すよ、聞きたいなら。」
「聞くよ。」
「おう。えっと、簡単に言えばさっきのカナってやつが俺らの、神野先輩と俺と真里亜の噂を流したってわけ。」
「どうしてそんなこと二人は分かってたの?」
「簡単だったぜ。俺は特に2年で一緒だし話しかけやすかった。」
「カナと話したの!?」
「いや、違う女。」
裕樹いわく、同じクラスの女子に聞いて回ったらしい。
自分も関わってることだからなんとしてでも突き止めようとしたんだって。
そしたら、どうもカナが噂を広めた張本人らしいって分かってきたらしい。
そこで仁と相談して今日に至ったっていうことらしい。
「俺も神野先輩も、イライラしちまってさ。殴るのはさすがに女子だしな。ってことで言葉での攻撃に出たってわけ。」
「攻撃って。」
「俺よか神野先輩のほうが怖えぇし。」
「仁って大人しそうな顔してるのにね。」
「まぁ、そう見えても神野先輩は口がきつい人だよ。」
「きつい?」
「そ。それで何人・・・いや、この話はやめとく。」
「なんで。話してよ、気になるでしょ?」
「真里亜が聞いてどう思うかは知らねぇけど、ショック受けると思うぜ?」
「仁って、何かしたの?」
その言葉に、裕樹が立ち止る。
「はぁ」って言いながら私を見る。
「だから、先に言っとく。神野先輩はやめた方がいい。」
「ねぇ、その言葉気になるんだけど、どういうこと?全然分からない。」
どこか冷たい目で私を見つめる裕樹は、また前を向き一人先に歩き始める。
そして、私の家についてしまった。