Together~キミと一緒に~
準備を終わらせて、ご飯も食べずに家を出た。
しばらく歩くと、遠くの方から私を呼ぶ声が聞こえた。
「真里亜ー!」
「げっ、カナ。」
「どういうことよ!私の誘いを断るなんて、相当な事情があるのよね!」
「い、家の用事があるのよ。」
「ふーん」って言ってるその言葉に、全然優しさが感じられない。
昨日あっさり『了解』ってくれたのは嘘だったのか、と思うような態度のカナ。
「家の用事、ねぇ。」
「へー、家の用事あんの?じゃぁダメか。」
そこにタイミング悪く一斗が会話に入ってきた。
「え、いや、そうじゃなくて」
「なに、藤咲。真里亜のプライベートが気になるのー?」
これは相当ヤバい、と思ったのも束の間。
次の瞬間には、カナの頭の中を雷の稲妻がピキピキと響いているのだった。
「いや、俺ら付き合ってるし?だからデートしようって話をきの」
「はぁぁぁぁぁ!?」
そっと逃げようとした私の腕をつかんだのは一斗、ではなくカナ。
「真里亜、どういうことか説明しようか?私に。」
「はい。」
即答。
ここまで素晴らしい顔つきをしておられるカナ様を、ここで振るわけにはいきません。
教室でガッツリと、根掘り葉掘り聞かれた。
昨日の告白から、デートの話まですべて吐かされた私。
「なるほどね。それで土曜日はダメなわけか。」
「はい。そういうことでございます。」
隣をちらりと見ると、ケータイに夢中になっている一斗。
うちの学校は、ケータイの持ち込みはいいけど、使用は禁止なんだよね。
でも、先生がいないところでこうやって、堂々と使うのはほぼ当たり前の光景。