Together~キミと一緒に~

準備を終わらせて、ご飯も食べずに家を出た。

しばらく歩くと、遠くの方から私を呼ぶ声が聞こえた。



「真里亜ー!」


「げっ、カナ。」

「どういうことよ!私の誘いを断るなんて、相当な事情があるのよね!」


「い、家の用事があるのよ。」


「ふーん」って言ってるその言葉に、全然優しさが感じられない。

昨日あっさり『了解』ってくれたのは嘘だったのか、と思うような態度のカナ。



「家の用事、ねぇ。」



「へー、家の用事あんの?じゃぁダメか。」



そこにタイミング悪く一斗が会話に入ってきた。


「え、いや、そうじゃなくて」

「なに、藤咲。真里亜のプライベートが気になるのー?」


これは相当ヤバい、と思ったのも束の間。


次の瞬間には、カナの頭の中を雷の稲妻がピキピキと響いているのだった。




「いや、俺ら付き合ってるし?だからデートしようって話をきの」

「はぁぁぁぁぁ!?」



そっと逃げようとした私の腕をつかんだのは一斗、ではなくカナ。


「真里亜、どういうことか説明しようか?私に。」

「はい。」


即答。

ここまで素晴らしい顔つきをしておられるカナ様を、ここで振るわけにはいきません。



教室でガッツリと、根掘り葉掘り聞かれた。



昨日の告白から、デートの話まですべて吐かされた私。


「なるほどね。それで土曜日はダメなわけか。」

「はい。そういうことでございます。」



隣をちらりと見ると、ケータイに夢中になっている一斗。


うちの学校は、ケータイの持ち込みはいいけど、使用は禁止なんだよね。


でも、先生がいないところでこうやって、堂々と使うのはほぼ当たり前の光景。

< 11 / 258 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop