Together~キミと一緒に~
「え?あいつって、裕樹?」
「そう!裕樹しかいないだろ!で、何を聞いた!?」
いつもの冷静な仁ではない。
とっても焦ってて、苦しそう。
「べ、別に何って言われても。」
「俺の過去とか聞いたんだろ!」
「そんな、大したことじゃないよ。ってかそんなに怒らないでもいいじゃない。」
「俺がいつ怒ったんだよ!」
「今だよ!今!」
お互いの声が段々と大きくなっていく。
周りには誰もいないから私たちを止める人は誰もいない。
「裕樹は、お前に何て言ったんだよ。」
「いろいろだよ!いちいち全部は覚えてないよ!」
「覚えてる範囲で言えよな!ってか、お前も怒ってんじゃん!」
「仁がこんなんだからでしょっ!」
私も肩で息をするようになった。
仁はさっきからずっとだけど。
「はぁ、っはぁ、で?何て言われたのか覚えてることだけでいから言えよ。」
覚えてることって言われても、何を言えばいいのよ。
私こう見えても記憶力は意外にいいのよ。
さっきウソついちゃったけど、ほとんど覚えてるのに。
「早く言えよ!」
「もぉ!裕樹は、私に仁はやめて俺にしとけって言ってきたのよ!」
この言葉を選んでしまった自分を後で後悔した。
とっさに出てしまったその言葉は、言葉足らずな言葉。
これだけ聞いちゃうと、勘違いするなんてすぐにわかる。
でも、この時の私は怒りや焦りで大パニック状態だった。
この事態を理解するのに少しだけ時間がかかった。
「なに、それ。は?俺が悪もんみてぇじゃん。」
「それは違うくて、裕樹は」
「そっか。お前は裕樹狙いか。ならいいや。」
「え・・・?」
「他にも聞いたんだろ?俺が野球以外に興味ないことくらい。」
「・・・聞いたよ?でも」
「なら、そういうことだから。」
どういうこ、と?