Together~キミと一緒に~

仁は一人暮らしをしてるからわからないよね。

家族の温かさとか、友達の温かさとか、いつも近くにあると安心するんだよ。


それに気付いてほしいな。

「気持ちわりぃだけだろ。」


「じゃぁ、今晩うちにおいでよ!」

「は!?」


「一緒にご飯食べよう!」

私の突然の提案に戸惑っている仁。


私自身も急に提案しちゃったし、お母さんたちが許してくれるか心配だけど。

でも、あの家族だからきっと大丈夫だと思う。


仁にも家族の温かさとか知ってほしいと思う。


「無理だし。なんで行かないといけないわけ?」


「嫌ならいいよ。でも、私は来てほしいな。」

「・・・・・・」


嫌なら、嫌って言って?

めんどくさいならめんどくさいって、ウザいならウザいって言って?


でも、仁の口から出た言葉は、私のそんな不安をすぐに消してくれた。

「うるせぇ・・・。」


「はい。関わるなって言ったのは、取り消してくれる?じゃないと、うちに呼べないよ~。」

「今の俺の言葉聞いてたか!?」

「うん。嫌なら嫌って言ってって言ったのに、うるさいしか言わなかったでしょ。それはいいよってことでしょ?」


「どうやったらそんな理解になるんだよ!」

「なら、ちゃんと言いなさい。」


何だか先輩と後輩っていうよりお母さんと息子みたいな感覚。

でも、きっと仁は言わない。


信じてる。


「わかんねぇよ。気が向いたらかもしれねぇし、俺はめんどくさいことしたくねぇから。」


そっと私の手を自分の腕から離して歩いていく仁。



待ってるよ。

関わるなって言われた時は辛かったけど、やっぱり仁は優しいってことを知ってるから。


だから、私仁のこと―――

「嫌いになれないな・・・。」


そっとつぶやいた言葉は、風に乗ってあなたに届きましたか?



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