Together~キミと一緒に~
「まぁ、土曜日は楽しんできな。」
さっきまでの表情とはうって変わって、優しい表情へ変化しているカナ。
「うんっ、言われなくてもそのつもり。」
「はいはい。じゃぁ、あとはお二人さんでごゆっくりー。」
嵐のようなカナが去って行ったのを見ながらため息、いや、一息つく私。
そんな私を見ながらクスッと笑うのは一斗。
「笑わないで!」
「ごめんごめん。」
学校での生活が今までと少し違うような気がした。
こうやってカナ以外の人と過ごすことは、ほとんどなかった。
本当に夢みたいな感覚。
でもこれは現実。
一斗の隣にいると、家のことなんか忘れていられる。
至福の時間とは、こういうことなのだろうとつくづく思う。
でも、学校が終わるとやっぱり気分は下がっていく一方。
「真里亜、昨日はあの後どうなった?」
「謝れなかった・・・。どうしよう・・・」
「まぁ、そんなに落ち込むなよ。家族なんだからさ。」
家族―――
私はあの家の家族なんだ。
でも、家族なんかじゃない。
ママがいないのに家族だなんて思えない。
と、そんなことは一斗には言えない。
「そう、だね。ありがとう一斗。」
精いっぱいの強がり。
精いっぱいの笑顔。
一斗の前で泣いたり、イライラするわけにもいかない。
一斗には、普通に接したいから。