Together~キミと一緒に~
「じゃぁまた明日な。」
「うん、また。」
昨日と同じように家の近くまで送ってもらった。
紳士的な一斗を昨日よりももっと好きになっていく私。
でも、家の中に入ると気分は一気にマイナスな方へ向く。
「お帰り。」
「ただいま・・・。」
その言葉だけ交わして、そそくさと部屋に向かう。
お母さんと話したくない。
話したら今朝のことを聞いてしまいそうだったから。
とにかく、宿題をしようと鞄を開ける。
「あれ?」
鞄を開けて筆箱がない事に気が付くのに、そう時間はかからなかった。
「学校に忘れたんだ。取りに行かなきゃ。」
さっき脱いだ制服をもう一度着て学校へ向かう。
職員室へ寄って理由を話し、教室の鍵をもらう。
「・・・あったあった。」
机の中から発見した筆箱を持ち、教室を出ようと思ったとき、廊下からある話し声が聞こえてきた。
それは、ついさっきまで聞いていた声。
「・・・一斗?」
なんで一斗がまた学校にいるんだろう。
そう思って廊下へ出た。
でも、すぐにまた教室へ戻った。
いや、隠れた。
廊下にいたのは、一斗とカナ。
どうして、あの二人が一緒にいるの。
「一斗、なんで真里亜なの?」
「別に、関係ない。」
「私のこと、まだ好きでいてくれてる?」
ちょ、ちょっと待って。
話の内容がイマイチつかめない。
「それも関係ない。俺の勝手。」
「そんなことないよ!これは私たち二人の話だよ?」
「あのな・・・」
「やだっ!私、まだ一斗のこと好きなの!」
声を震わせながら一斗と話をしているカナ。
そういえば、カナも昔一斗のことが好きだったはず。
でも、カナが一斗と付き合っているなんて話は、聞いたことはなかった。