Together~キミと一緒に~
ママがゆっくりと後ろを振り返り、歩きはじめる。
そんなママの後姿を見ながら、パパはそっと涙を流す。
ママがあんなにもすぐに行ってしまうなんて思わなかった。
もっと、パパとギューってしたり何か言ったりするのかと思ったのに。
結局私と話して、最後は「じゃぁねっ」って言ってすぐに行っちゃった。
「パパ?ママに何か言わなくていいの?」
「・・・あぁ。いいんだ。ママの気持ちはしっかり伝わってくるから。」
「・・・そっか。」
その時、ママが私たちの方を振り返った。
だいぶ先に進んでしまったママの表情は見えなかったけど、何か光るものが見えた。
それは、パパの頬を流れる滴と同じもの。
キラキラ輝く、涙だった。
そして、ママは少しだけ手を振ってまた前を向いて歩き出した。
その光景を見たパパは、そっとある言葉をつぶやいた。
その言葉は、とても温かくてパパの気持ちのこもった言葉だった。
きっと、このパパの言葉はママに届いたよね・・・?
「好きだ、真菜」
「ぱ、ぱ・・・」
「真菜、僕は今でも真菜が好きだ。あの頃と同じくらい、いや、もっともっとキミに恋をしたよ。この思いは届かないけど、それでも僕は一生真菜を愛し続けてもいいかい?」
ママからの返事はないけれど、ママもきっと同じ気持ちだよね?
ママが見えなくなっても私たちは、しばらくその場を動けなかった。
でも、私がそっとパパの手を握るとパパも私の手を握り返してくれた。
そして、私に向かって笑顔で「帰ろうか」って言ってくれた。
私は「うん、帰ろう」と言って車に乗り込んだ。
家に戻ると真咲とお母さんが出迎えてくれた。
そして、私とパパに言ってくれた。
「「おかえりなさい」」
だから、私とパパは笑顔で言葉を返したの。
「「ただいまっ」」