Together~キミと一緒に~
5投目
一歩
「この回守り抜け、お前ら!」
「「はいっ!」」
尾崎先輩もみんなもすごく気合が入っている。
この回を押さえれば、うちは甲子園へ行けるんだから!
相手チームのバッターは2番。
この人割と打つんだよね。
でも、身長が低めのせいか飛距離はそこまで伸びない。
だから守備も前よりではある。
尾崎先輩がそのボールを投げる。
パスッ―――
「トライッ」
まずはストライク。
続いて、ボール。
その次もボール。
そして、ストライク。
結構きつそうな表情の尾崎先輩。
ここまで尾崎先輩が投げてきた球数は、今ので121投目。
息もだいぶ上がっていてかなり辛そう。
次の球は、バッターが打ち上げたけどファール。
おしいなぁ!
「尾崎先輩、意外に肩弱いからな。」
「え、そうなの!?」
「そう。2年だったとき肩壊したのに、無理やり治してピッチやってんだぜ。無茶だろ。」
肩を壊したのに治して投げてるって、相当すごいことだよね。
「病院の先生も驚き。リハビリを毎日人の3倍はやってたらしい。」
「それはすごいよ。そんなにピッチャーやりたかったのかな。」
「だろうな。負けたくないやつがいたんじゃね?」
負けたくない、ってやっぱり仁のことかな。
チラッと仁を見るとベンチから一点を見つめていた。
きっと今の仁の目には、尾崎先輩しか映ってないと思う。