Together~キミと一緒に~

それから数分間、何も会話がないまま歩き続けた。


まだ着かないのかな、と思ったとき。

「ここだな。」


ここ、と言われて見てみるとそこには可愛らしい小さなお店が一軒あった。


「可愛らしいお店。何を売ってるの?」

「入ったらわかる。さっさと買って帰るぞ。」

「うん。」


入ったらわかるってそれはそうでしょう。

別に教えてくれたっていいのに。



そのお店のドアをそっと開ける。


お店の中は、これまた可愛いのかと思いきや少し違った。

少し、じゃないですね。

かなり違いました。


「ここって、メンズのアクセサリーショップ?」

「そうそう。店の外見に合わねぇだろ?」


「確かに全然違う。でも何でかな。」

「女子が入りやすいようにだってさ。」


なるほどね。

世の女の子たちが彼氏さんにプレゼントしたりするために買いに来るんだろうな。

お店の人ってそういうことも考えるんだ。


「で、裕樹はここで何を買うの?」


「俺じゃない。真里亜。」

「はい?」


「お前が好きなやつにアクセサリーを買うならどれにするか。」


「私が?って、今私好きな人いなんですけど。」

「鈍感。早く選んで。」


最近その言葉をよく耳にしますね。


裕樹の口から出てくる「鈍感」って言葉。

私のどこが鈍感なのよ、って言ったところで言い返されるだけだよね。


「誰にあげろって言うのよ。」

「いいから。誰にあげるか想像して選んでみろよ。」


「誰って・・・」


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