Together~キミと一緒に~
息が上がってるからここまで走って来たんだろう。
「どこ行ってたのよ。仁にあれ渡してたの?」
「そうそう。ちゃんと渡したから、メールしとけ。」
「うん。ありがとう。って、ここまで帰ってくるの大変だったんだから!裕樹走って行っちゃうし!」
「悪い悪い!帰りはゆっくり歩くから!」
「もう。じゃぁ帰るよ。」
「荷物取ってくるから!」
「先に帰っちゃお。」
「はぁ!?」
さっきの仕返しと言わんばかりに、私は小走りに校門へ向かう。
後ろから裕樹の叫び声が聞こえるけど無視。
しばらくすると、走って追いついてきた裕樹。
「さすが、もと野球部だね。」
「う、る、せぇっ!」
仕返し成功、と思いながら歩くスピードを落としてあげる私の優しさ。
隣で息が上がりまくりな裕樹をみていると笑いが込み上げてくる。
「なに、笑って、んだっよ!」
「別にー。」
こんな光景、本当に傍から見たらカップルだよ。
でも、仁じゃなくてよかった。
もし、一緒に帰ってるのが仁だったらまた変な噂を立てられちゃって大変だもんね。
同じ2年の裕樹でよかったよ。
うん、よかった。
・・・―――仁、リングしてくれるかな。
「そういえばあれペアリングだったろ。」
「あ、そうだ。そのままあげちゃった!」
「いや、出したよ。これな。」
裕樹が鞄の中から、さっきのペアリングの一つ。
「ラッピングしてあったからさ、きれいに取るの大変だった。」
「意外に器用だね。」
「意外って言うな。」