Together~キミと一緒に~
「話すほどのことじゃねぇかもしれねぇけど言っとく。あと1週間でいよいよ甲子園だ。それはみんなわかってるな。」
「「はい!」」
「そこで、だ。今日から甲子園まで、練習時間をさらに伸ばす」
「えー。」
「というのは嘘で。」
「「んだよ!」」
「ここからが大事な話な。俺は甲子園に行く。お前らも行く。ただ、マネジは佐藤と下野。」
「「え?」」
岡本先輩と私の声が重なった。
だって、ここは岡本先輩と佐藤先輩が行くべきでしょう?
なんで岡本先輩じゃなくて裕樹が行くの?
「岡本と真里亜ちゃんはスタンドで応援よろしくな。」
「なんで岡本先輩もスタンドなんすか?」
「それは、下野には関係ないだろ。お前には俺らのいろいろをだな」
「わかってるわよ。尾崎がそう言うならそれで決定なのよ。下野くんと茜里がベンチに行く。それでいいのよ。」
岡本先輩が佐藤先輩と裕樹に言う。
でも本当は自分も行きたかったはず。
だって、高校最後の思い出でになるはずの場所なのに。
どうして、尾崎先輩は岡本先輩をはねたの。
「で、もう一つ。俺はピッチャーをしない。」
「「えー!?」」
尾崎先輩のこの言葉でメンバー全員が驚いた。
だって、尾崎先輩が投げないとなると、だれが投げるの?!
「俺の代わりに、仁が投げる。」
「仁が?」
「そう。俺はこの前の試合の後、病院に行って医者に止められた。これ以上やると腕が壊れちまうってさ。」
その言葉に私たちはただ唖然とするしかなかった。