Together~キミと一緒に~
「あ、もしかしてそれで帰りが遅かったの!?」
つい口を突いて出た言葉。
きっと、宿題を出し忘れたとか仁にあのリングを渡してたから遅くなったとかっていうのは嘘だったんだ。
「あー、まーな。」
頭をかきながら返事をする裕樹。
それならそうと、最初から正直に言えばよかったのに。
「まぁ、そういうことだ。甲子園でベンチに入るのは佐藤と下野。ピッチャーは神野仁。以上を覚えたやつは、へんじー。」
「「はい!」
へんじー、って子供みたいな言い方の尾崎先輩。
でも、みんなは部室にその声を響かせた。
「よっしゃ、んじゃ部活開始時間過ぎたからとっととアップして練習開始!」
部室が一気に寂しくなっていく。
そんななか、残されたのは私たちマネジ。
「やおい・・・私スタンドでいいから頼んでこようか?」
佐藤先輩がずっと下を向いたままの岡本先輩に声をかける。
いっこうに返事がない岡本先輩。
「弥生?」
その時、ドアのところから聞こえてきた声は尾崎先輩。
「・・・なによ。」
「応援、してくれよな。」
「・・・当たり前でしょ。って、尾崎は投げないんだからどこを応援するのよ。」
「守備はやるって。んじゃ、おにぎりよろしく!」
ドアを閉めてそそくさと出ていく尾崎先輩。
「やっぱり私言ってくるよ!やおいはベンチに」
「いいから!あんたが行きなさい。茜里が頼まれたことなんだから。言われた仕事は最後までやりなさい。下野くんもね。」
ぱっと顔をあげて二人に言う岡本先輩。
私はその間、何も言うことができなかった。
どうしていいのかもわからなかった。
「はい。」
裕樹が返事をする。
でも、佐藤先輩はなかなか返事をすることができない。