Together~キミと一緒に~

三谷先輩がバントで3塁の尾崎先輩を出したんだ。


「「走ってー!」」



「「おぉぉぉ!」」

スタンドの歓声が一段と大きくなる。


それは、尾崎先輩が無事にホームに帰れたから。

私と岡本先輩もハイタッチをした。


既に岡本先輩の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。

それだけ嬉しいんだろうな。


私も、こんな風になれるかな。


でも仁、打ちそうにないなー。



その後、和泉先輩はヒットで1塁へ。

大木先輩はキャッチャーフライでアウト。

山口先輩はセンターフライでアウト。


これでうちの攻撃は終わったけど、尾崎先輩の1点はきっとみんなに力を与えてくれたと思う。



試合がどんどん進んでいって、6回の裏。

相手の攻撃で、現在ノーアウト2.3塁。


仁の球はまだ勢いはあるように見える。

でも、やっぱり疲れは出るもの。

ボール球が徐々に増え始めた。


「神野くん、やっぱりきつそうね。」


「尾崎先輩の時より疲れるのが早いかもしれないです。」

「あら、そうなの。」
「もうノロケなくて十分ですよ。」

「ばれた?」


確かに尾崎先輩はかっこいいですよ。

今日だって点入れましたもんね。


でも、さっきからすごく・・・うるさいくらいに自慢してくる岡本先輩。

私も自慢したいけど、仁のこと見てきた割にどこを自慢したらいいのかよくわからない。


「ついにフォアボールか。」

そう呟いた岡本先輩は「満塁・・・」と続けた。


そうか、これで満塁になっちゃった。


< 212 / 258 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop