Together~キミと一緒に~
三谷先輩がバントで3塁の尾崎先輩を出したんだ。
「「走ってー!」」
「「おぉぉぉ!」」
スタンドの歓声が一段と大きくなる。
それは、尾崎先輩が無事にホームに帰れたから。
私と岡本先輩もハイタッチをした。
既に岡本先輩の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。
それだけ嬉しいんだろうな。
私も、こんな風になれるかな。
でも仁、打ちそうにないなー。
その後、和泉先輩はヒットで1塁へ。
大木先輩はキャッチャーフライでアウト。
山口先輩はセンターフライでアウト。
これでうちの攻撃は終わったけど、尾崎先輩の1点はきっとみんなに力を与えてくれたと思う。
試合がどんどん進んでいって、6回の裏。
相手の攻撃で、現在ノーアウト2.3塁。
仁の球はまだ勢いはあるように見える。
でも、やっぱり疲れは出るもの。
ボール球が徐々に増え始めた。
「神野くん、やっぱりきつそうね。」
「尾崎先輩の時より疲れるのが早いかもしれないです。」
「あら、そうなの。」
「もうノロケなくて十分ですよ。」
「ばれた?」
確かに尾崎先輩はかっこいいですよ。
今日だって点入れましたもんね。
でも、さっきからすごく・・・うるさいくらいに自慢してくる岡本先輩。
私も自慢したいけど、仁のこと見てきた割にどこを自慢したらいいのかよくわからない。
「ついにフォアボールか。」
そう呟いた岡本先輩は「満塁・・・」と続けた。
そうか、これで満塁になっちゃった。