Together~キミと一緒に~
その時、私たちの向かい側から一人の女の子が走ってきた。
「一斗ー!」
「え?」
それは、カナだった。
そして、カナは私と一斗の所へ来ると「ふぅ」と言って一斗の手を繫ぐ。
なんで?
「一斗、行こう?」
「あ、え、その」
「もしかして、まだ言ってくれてなかったの?」
二人の間での会話。
何のことなのやら全く分からない私。
一斗は全く私の方を向いてくれない。
二人の間に何の秘密があるの?
「じゃぁ私から言うよ。」
「・・・・・・」
「あのね、真里亜」
「な、なに?」
「私たち、結婚するの。」
は、い?
今何か言いましたか?
結婚、がどうとか?
「意味がわからないけど。」
「そのままだよね、一斗。」
「・・・・・・」
一斗は一向にしゃべろうとはしなかった。
どうして、何も言ってくれないの。
あ、そっか、一斗は優しいもんね。
だから、何も言ってくれないんだね。
でもね、こういう時はちゃんと言ってくれないと分からないよ。
一斗は何を思ってるの―――
「一斗からは言えないか。だって、好きな彼女の前でこんな事実。」
そう言ってカナは、自分のお腹をさする。