Together~キミと一緒に~

目の前には、この男の人が作ってくれたおかゆ。

白い湯気をホコホコとあげながら私の目の前に置かれる。


「いただきます。」

熱そうなおかゆをフーっと吹いて冷ましてから口に入れる。


少しだけ、お醤油が入ってるのかな。

珍しい事をするんだな、と思いながらモグモグしているとその視線に気が付いた。


「なんですか?」

「いや、うまいかなって。」


「おいしいですよ?これ、お醤油入ってますよね?」


「そう、正解。ってわかるか。」


「ハハッ」って笑いながら自分も用意したご飯を食べる。

男の人のメニューは、ご飯に、お味噌汁と野菜炒め、鮭の塩焼きとずいぶんとあっさりしたメニュー。


もっとガッツリしたものを食べてるのかと思った。

「そういえばさ。」

「はい。」


「名前、聞いてなかったなぁって。」


名前?

そういえば、私もこの男の人の名前知らない。


私ずっと寝てたもんね。

知らないわけです。


「俺は、神野仁(かみや じん)。仁って呼んでくれたらいいから。」

神野仁、それがこの人の名前。

名前もかっこいい。


って、何を考えてるの私。


「で、あんたの名前は?」


「私は、神崎真里亜です。」

「まりあ、ってすげー名前だな。」


「そうですか?」

「どっかのお姫さんみたいな。」


お姫様ですか。

私とは全然無縁な言葉だと思います。


万一私がお姫様なら、世界一かわいそうなお姫様です。


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