Together~キミと一緒に~
私はあの時一生懸命、一斗達から逃げるようにして走って疲れきってた。
だからあの公園でベンチを見つけて、座って休んでたんだ。
それ以外に何があるの。
「確かに疲れてたと思うよ。真里亜のその体じゃ、公園まで体力があったことに俺自身も驚くよ。でもさ。これはあくまで俺の考えだけど」
仁の考えは、私にあることを思い出させた。
二人の前から逃げるように走る私の心の中にあった感情を。
私が好きなのは一斗。
私の世界にはあなたしかいなかった。
だから、たとえ走っていても考えてしまう。
走り終えても考えてしまう。
本当は、もっと走れたのかもしれない。
でも、あの公園は小さくて周りを囲む木々が少し低めで人目に付きやすいところだった。
よく思い出してみると、走っているときに公園は何度か目に入っていた。
でも、その公園には入ろうとはしなかった。
ベンチはあったよ。
でも、だめだった。
仁が私を見つけてくれたあの公園じゃないと、見つけてもらえないと思った。
そこでやっと休もうって、待とうって思った。
そう、私はそう思ってた―――
「あの誰もいない公園のベンチで、迎えに来てくれるのを待ってた。その、一斗ってやつが追いかけてきてくれると思って、あの公園を選んだ。」
目から次々に涙が零れ落ちていく。
仁の言葉一つ一つが私の心の中の秘密の気持ちを開放していく。
「違うか?」
「・・・あってるっ」
「・・・そっか。」
そして、仁は私のことをそっと抱きしめてくれた。
この仁の行動の意味がうまくつかめない私。
私たち、今日初めて会ったんだよね?
でも、仁はそんなことは関係ないって言ってくれているようだった。