Together~キミと一緒に~
赤の他人だった私たちが、こうやって抱きしめあってるのはおかしい。
そうわかっていても私の体も仁の温もりを感じていたくて離れようとはしなかった。
「真里亜。」
頭上で声が聞こえて、仁の方を向いてみた。
そこには、優しく微笑んでいる仁がいた。
私、この仁の笑顔に一目惚れしました。
「なに?」
「元彼のこと、これからも好きでいたらいいんじゃないか?」
「え?」
「俺、彼女とか作ったことねぇからわからねぇけどさ。多分一斗ってやつも真里亜のこと好きだと思う。」
「どうして?」
「多分こうなる結果を待ってたのはカナちゃんだっけ?その子だけだと思う。」
「一斗はこのことを望んではなかった?」
「多分な。真里亜の話聞いてる限りでは、予定外のことだったと思う。」
「でも、追いかけてきてくれなかった・・・」
「それは」
続きを言いかけて仁は話をやめた。
私的にはその話の続きを聞きたかったのに。
「言っとくけど」
話の続きではなかったけど、また仁が話し始めた。
「これはあくまで俺の考えであるわけで、一斗ってやつがどう思ってるかは知らねぇからな?」
「それは、わかってます。」
「ならいいか。さっきの続きは」
そんなことを気にしてくれていたんですか。
私そこまでバカではないですよ?と思いながら仁の話に耳を傾ける。
「追いかけてこなかったのは、カナちゃんのため、というより子供のためか。」
「赤ちゃんの?」
「妊娠が分かったのに、無茶なことをさせるわけにいかないだろ。真里亜のことを追いかけたかったけど、真里亜を追いかける自分を子供がいる体で追いかけてきたら誰だって焦るだろ。」
「そっか。」
「一応パパになるわけだし。優しさがあるからこそのことじゃねぇか?」
一斗は優しいもんね。
そのことは私もよく知ってるよ。