Together~キミと一緒に~
佐藤先輩。
「今日も頑張りましょうね。」
岡本先輩。
みんな、私の噂を知っててこんな感じなの?
「あ、しものん!」
佐藤先輩が呼ぶその名前。
それを聞いた瞬間に、私は走っていた。
彼の顔を見ることもなく、全速力で走っていた。
後ろで私を呼ぶ声がする。
でも、振り向けない。
怖くて、何も言えなくて。
「真里亜!」
それでもやっぱり、男の子には勝てない。
「放してっ!」
「待てよ、何で逃げるんだよ!」
「いいから、放して!もう、誰にも迷惑かけたくないの!」
「迷惑ってなんだよ、何の話だよ!」
裕樹は、まだ知らないの?
あの噂のことを、知らないの?
だったら、なおさら一緒にいちゃいけない!
「もう、裕樹と関わりたくないの!」
すると、裕樹の手の力が弱まり私の腕を放す。
私は、裕樹の顔を見ることなく走ってその場から逃げた。
走って来たところは、校舎の裏。
そこには誰もいなくてとても静かだった。
「はぁっ、はぁっ・・・」
部活、ちゃんと仕事しなきゃいけないのに。
おにぎり、作らなきゃダメなのに。
スコアもつけないと迷惑かけちゃう。
でも、それ以前に裕樹と仁に迷惑をかけたくない。
何もできない自分に、イラ立ちが増していった。