Together~キミと一緒に~

「真里亜。」


顔を上げると、そこには裕樹がいた。

さっきとは違って、とても落ち着いている。


というより、悲しい表情で私を見つめている。



「なぁ、真里亜・・・」

「もう来ないで。」


「・・・・・・」


「お願いだからぁっ・・・っこないでっ」

自然とあふれ出てくる涙。


この涙は、自分が情けない証拠。


二人のために何もできない自分がとても悔しい。

どうすればいいのかわからない自分が腹立たしい。


フサッ―――


その時、私の体を温かい何かが包み込んでくれた。

それは裕樹の体だった。


裕樹の腕の中にすっぽりと包みこまれた私。

でも、こんなところをまた誰かに見られていたら?


それこそ、裕樹に迷惑をかけてしまう。

「裕樹、放して。離れてよぉっ!」

「嫌だっ。」


どうして?
なんで放してくれないのよ。


私たち、みんなに誤解されてるのに、こんなことしてたらまた誤解されちゃうよ。

なのに、どうして・・・。


「誤解されちゃうからぁ・・・っ。もう、離れてっ。」

「それでもいい。」


「え?」

「俺、別に誤解されてもいい。」

「なん、で。」


頭上で裕樹の声がする。

その声は、とても優しいトーンで私を安心させてくれる。


「俺さ」


< 96 / 258 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop