私と君と、あの子。
【亮太side】

 優衣が泣きそうな顔で教室を出ていった。

 なんでそんな顔するんだよ・・・。優衣、なんでなんだよ・・・。

 俺、優衣にそんな顔させたくて、麻美と付き合うことにしたんじゃねーよ。


「ごめん、俺、ちょっと行ってくるわ。」

「・・・優衣ちゃんのとこに行くの?」

「・・・・・・。」

「俺が行くよ。おまえは、平川と待ってろ。」


 雪斗は、そう言って教室を出ていった。

 本当は、俺が行きたかった。

 優衣の元へ行って、抱きしめてやりたかった。

 涙を拭いてやりたかった。

 でも、もうそんなこともできない。

 俺は、麻美と付き合うことにしたんだ。

 俺はもう・・・。

 優衣・・・。俺、おまえのことが好きだよ。

 だけど、おまえが雪斗と幸せになるなら、俺は邪魔はしたくない。

 ・・・心の中だけでもいいから、言わせてくれ。

 俺は、優衣のことをずっと好きだ。

 これから、何があったとしても、大好きだから・・・。
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