私と君と、あの子。
 授業をぼーっと過ごして、いつの間にか放課後になっていた。

 麻美ちゃんが後ろで亮太に喋りかけている。


「亮太君、一緒に帰ろー?」

「えっ?あ・・・、おう。」

「じゃあ、行こっ!」


 麻美ちゃんは、亮太の腕を引いて、私に手を振って帰っていった。

 その時の亮太の少し悲しげな表情が、忘れられない・・・。

 亮太は、麻美ちゃんと付き合うことになって、幸せになったんじゃないの?
 
 お願いだから、そんな顔しないでよ・・・。

 私は、亮太にそんな顔させるために、亮太を諦めたわけじゃないよ?


「優衣?俺たちも、帰ろうぜ?」

「あっ、うん。」


 雪斗にそう言われて気づく。私はもう、雪斗のものになったんだって。

 後悔してるわけじゃない。雪斗に好きって言ったこと。

 私、雪斗に好きって言って、後悔なんてしてないよ?


「優衣ー。」

 
 雪斗が私の顔を下から覗き込む。


「なに?雪斗。」

「・・・手ぇ、繋いでもいい?」

「・・・うん。」


 雪斗は、私が小さく頷くと、私の手を優しく握った。

 雪斗の手は、温かくて大きくて、優しかった。

 
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