私と君と、あの子。
 麻美は、俺が考えていることが分かったのか、俺に抱きついた。


「ねえっ、お願いっ。私を見てよっ!優衣ちゃんじゃなくて、私を見てっ!!」


 麻美は泣きそうな顔をして、俺に訴える。

 だけど、そんな麻美に俺は何もできなくて、ただ呆然としていた。

 麻美が俺の胸にうずめていた顔を上げて、俺の目を見た。

 その瞬間、俺の唇に、麻美の唇が重なった。

 それは一瞬の出来事で、でもすごく大きい事で・・・。

 
「亮太君、初めて・・・?」

「・・・・・・っ。」

「そんな顔するってことは、初めてなんだ?私、亮太君のファーストキスもらっちゃったんだね。」


 麻美はそう言うと、満足そうに笑った。

 なあ、優衣?

 俺は、おまえが一番好きだ。
 
 おまえのことが、一番大事だ。

 だけど、俺は、麻美とキスをした。

 麻美と付き合っている。

 俺は、麻美を一番にしなくちゃいけないのか?

 一番好きなのも、麻美。

 一番大事なのも、麻美。

 一番守ってやりたいのも、麻美。

 そんな風に思える日が、いつか来るのか・・・?

 俺の一番は、いつだって優衣なのに・・・。
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