私と君と、あの子。
 ベンチに座って、私はうつむく。

 ジェットコースターを見つめて、亮太のことを想った。

 心配してくれて、嬉しかったなぁ・・・。

 たとえ、麻美ちゃんの彼氏だとしても、嬉しかった。


「優衣?」


 頭の上から聞こえる声。聞き覚えのある声。

 
「・・・亮太?」


 顔を上げると、そこには亮太の心配そうな顔。

 なんでいるの?

 麻美ちゃんは?

 ジェットコースター、乗ったんじゃないの?

 聞きたいことはたくさんあるのに、何一つ聞けなかった。


「そういえば、おまえ、絶叫系苦手だったよな?」

「・・・・・・。」

「ごめんな?気づいてやれなくて。」

「・・・ううん。」

「あいつらがジェットコースター乗ってる間、暇だろ?何か乗るか!」


 亮太はそう言って私の手を握った。

 亮太の手は、心地よくて、優しかった。

 亮太に手を引かれるまま、着いたのは観覧車の前だった。


「これに、乗るの?」

「嫌か?」

「ううん?」

「じゃあ、決定。」


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