私と君と、あの子。
 一瞬、時が止まった気がした。

 隣にいる亮太が、私を好きって言ってる。

 亮太には、麻美ちゃんがいるのに、私を好きって言ってる。

 ねえ、亮太?

 どうしてそんなこと言うの?


「・・・亮太には、麻美ちゃんがいるでしょ?」

「それでも、俺はっ!」

「もうやめてよっ!亮太には、麻美ちゃんがいるのに、どうして私のことなんか・・・。」

「俺は、ずっとお前のことを好きだったんだよっ!!」


 そんな真剣な顔で見ないでよ。
 
 そんな声で、私のこと好きって言わないでよ。

 もっと離れてよ・・・。

 そうじゃないと、私、亮太のこと好きって言っちゃう・・・。

 亮太は麻美ちゃんのものなのに、私それを奪おうとしてる・・・。

 だから、お願い。

 冗談って言って、笑ってよ。


「・・・そんなこと言われても、どうすればいいか分かんないよ。」

「優衣は、俺のこと、どう思ってる?」

「・・・友達だよ?亮太は、ずっと友達じゃん。」

「俺は、友達なんて思ってないよ。」


 亮太が私の手を握る。

 でも、それは優しくて温かくて・・・。

 亮太のことを諦めたと、自分では思っていたのに、私の中の亮太は消えてなかった。

 私は、亮太のこと忘れてなんかなかった。

 ・・・好きだよ、亮太。
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