私と君と、あの子。
 観覧車から降りて、麻美ちゃんと雪斗のところへ戻る。

 そのあとも、亮太の寂しそうな表情は変わらなくて・・・。

 亮太の顔を見ると、辛くて・・・。


「さて、最後何乗ろっか!」


 何も知らない麻美ちゃんと雪斗は、楽しそうに最後の乗り物を選んでいる。

 私と亮太は、少し気まずくて、目を逸らしていた。


「最後、観覧車乗ろうよっ!麻美、乗りたかったんだあ!」

「俺も俺もー。それじゃあ、行こうぜ!」


 麻美ちゃんは、亮太の腕を引っ張って観覧車へ向かった。

 まるで、私のものと言ってるように。

 とったりしないよ?・・・とったりなんか、しない。


「それじゃあ、麻美と亮太が最初に乗ってくるねー!」

「おう。」

 
 私は、雪斗と順番を待っていた。

 雪斗は、私の顔を見て微笑んだ。

 その瞬間、私の胸がずきっと痛んだ。

 雪斗をだましてるみたいだった。


 “雪斗が好きだよ”

 “亮太のこと、諦めるから”

 
 そんな言葉ばっかり雪斗に言って、嘘ついて、雪斗を不安にさせないようにしてた。

 でも、全部嘘だった。

 私の中の亮太は、雪斗より大きかった。

 ごめんね、雪斗。

 もう、雪斗と付き合っていられない。

 そう思ったとたん、目から涙が溢れ出した。

 雪斗をだましていた自分が、最悪で。

 亮太のこと好きな自分が、最低で。


 私が、邪魔なんだ。

 私がいなくなれば、亮太と麻美ちゃんはうまくいくんだ。


 涙が止まらなかった。

 溢れ出す涙を止めることができなかった。
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