私と君と、あの子。
【亮太side】

 俺、なんで優衣を抱きしめちゃったんだろう。

 なんで、好きって言っちゃったんだろう。

 俺は、麻美と2人で観覧車に乗っている間も、優衣のことばかり考えていた。


「ねえ、亮太?亮太ってばあ!!」


 麻美の少し怒ったような声で、俺は顔を上げた。


「なに?麻美。」

「・・・私を見てよ、亮太。」


 麻美は、泣きそうな顔で震えた声で、俺にそう言った。

 麻美のそんな顔を見るのは初めてで、俺は少し戸惑った。


「ごめん。麻美、俺・・・。」

「それ以上言わないでっ!!」


 麻美が、精一杯の声で、俺の言葉を遮る。

 ・・・なあ、麻美?

 俺、もう無理だよ・・・。

 優衣のこと好きって気持ち、抑えきれないよ。


「亮太は、私のだもんっ!」

「麻美・・・。」

「優衣ちゃんになんか、渡さない。」

 
 麻美は、冷たい声でそう呟いた。

 俺は、嫌な予感がした。

 ・・・麻美。お前、どうしちゃったんだよ。
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