私と君と、あの子。
【亮太side】

 優衣が、友達のところへ行ってから、俺は教室へ入った。入学式ということもあり、教室の中はざわめいていた。俺は、自分の席に座り、優衣が戻ってくるのを待っていた。


「ねえねえ、なんていう名前?」

「は?」


 俺の斜め前の席に座っていた女子が、俺に話しかけてきた。


「岡崎亮太だけど・・・。」

「へぇ・・・。君が岡崎亮太か・・・。」

「どういうことだよ?」

「べつに?私、平川麻美。麻美って呼んでね?よろしくね。」

「・・・おう?」


 麻美は、俺のことを前から知っていたみたいだ。だけど、俺は平川麻美なんて知らないし・・・。こいつ、見るからに男好きだろ。


「亮太君。私ね、中学のときから、亮太君のこと知ってたんだよ?運動神経抜群で、ルックスもいいって、みんな言ってた。」

「そうなんだ?ありがとう。」

「ずっと友達になりたいと思ってたの。だから、同じクラスになれて嬉しい!友達に、なってくれる?」

「おう。いいぞ?」

「ありがとう!」


 麻美は、喋ってみるといい奴で、俺は麻美と楽しく喋っていた。優衣が、教室に入ってくるのにも気づかずに。

 そんな時、辛そうな顔をした優衣を見つけた。今にも泣きそうな顔をした優衣を。


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